働く女性を主な対象に据えた女性専用のローンカードの発行が相次いでいる。
オリックス・クレジット(東京都立川市)が今年4月、業界初の「低金利」「大型枠」をうたったローン専用の「オリックスVIP Lyrα(ライラ)カード」を発行したのに続き、クレジット最大手のジェーシービー(JCB、東京都港区)も8月、同じローン専用の「JCB LINDA.f(リンダエフ)」で追随した。
UFJニコス、オリエントコーポレーションといった信販各社も女性向けにキャッシングの拡充を図り、個人ローン市場で働く女性に照準を合わせた商品が新たなマーケットを形成しようとしている。
背景には、旺盛な消費意欲を持つ団塊ジュニア世代をコアに、働く女性の小口資金需要を掘り起こすねらいがある。一方、貸金業規制見直しで、「グレーゾーン(灰色)金利」の撤廃方向が固まったことに備える側面も持ち合わせている。
消費者金融や信販は灰色金利帯に金利を設定しており、灰色金利帯廃止に向け、金利を低く設定する動きが加速している。ただ、一段の競争激化は避けられず、借り手のセグメントを細分化し、それぞれの層に応じた商品設計でシェア拡大を進める貸し手側の事情もある。
オリックス・クレジットのライラは発行後ほぼ半年、申込件数が計画比100%を達成し、上々の滑り出しをみせている。融資枠を20万〜200万円と女性専用で大型に設定、金利も年11・4〜17・6%と利息制限法の上限(15〜20%)を下回る設計が受け入れられている。
ライラは昨年11月、社内で初めて実施した新商品企画コンテストで選ばれ、商品化された。クレジットセンターの与信企画担当アシスタントマネジャー、安藤百合さんら女性3人が、主力商品「VIPローンカード」に女性からの問い合わせや申し込みがあることに「意外性」を感じ、ならば「女性自ら女性向けカードを考えては」(安藤さん)と提案した。
VIPカードは1987年発行の上場企業の部課長級を主な対象にした低金利と大型枠が売りの商品で、個人向けローン市場で独自色を打ち出し、一定の地位を獲得している。
ライラは基本的に低金利、大型枠の商品性で市場を切り開いてきたVIPカードの正攻法的な路線を踏襲すると同時に、金融商品に敏感な女性層に受け入れられる配慮を施した。それが女性専任スタッフが電話での問い合わせに応じる「Lyrαコンシェルジュ」だ。
社内外の調査で「女性が金融商品を申し込む際、最も感じるのが『不安』」との結果を受けた配慮だ。企画当初はクレジットカードでのショッピングと同じ、ポイント付与の案も上がった。しかし、最終的に特典はVIPカードに設けていた国内外旅行やレジャー施設の割引サービス「Club Off」を手厚くしたにとどめた。
一方、女性はクレジットのキャッシングに抵抗感はないものの、ローンカードは使わない女性ならではの行動もある。女性向けローンは一般に利息制限法を上回る高金利で融資枠も小さく、おカネを借りることに「不安」を感じ、二の足を踏んでいた背景もあった。
それなら低金利でしかも「借りる安心感」を出すため、VIPカードより小枠ながら納得ができる融資枠とすれば市場を開拓できると判断、本格的な女性専用商品の投入に踏み切った。
リンダエフで女性向けローン市場に本格参入したJCBの意図もほぼ同じで、金利18%、融資枠30万〜50万円と働く女性が返済可能な商品を意識した。JCBに限らず、女性の社会進出を背景に女性向け商品の投入は積極化、しかも、灰色金利帯の撤廃を控え、低金利商品が続々登場しそうだ。
このため、オリックス・クレジットはライラの商品認知度を高めるねらいで、20歳代以上の女性に好感を得ている女優の篠原涼子さんを起用した同社初のテレビCMを放映し、競争激化に先手を打った。
現状は灰色金利帯を廃止し、上限金利を引き下げる貸金業規制見直しを織り込んだ低金利商品にある種の追い風が吹く。ニューカマーが相次げば足元の市場拡大にもつながる。しかし、その先は商品の乱立・乱戦は避けられず、早期にブランドを確立し地歩を固められるかが成否の鍵を握っている。
iza引用